新着の記事
今回の記事で理解できること
- 日本の食料自給率について
- 世界の食料自給率について
- 食料自給率が低いことによるリスク
- 食料自給率の盲点
- まとめ
日本の食料自給率について
下記は日本の総合食料自給率の推移をまとめたものです。
農林水産省の食料需給表を基に作成しています。
ご覧いただくように、日本の総合自給率は減少傾向にあります。
カロリーベース | 1960 | 1970 | 1980 | 1990 | 2000 | 2010 | 2018 |
総合自給率 | 79% | 60% | 53% | 48% | 40% | 39% | 37% |
次に品目別の自給率の推移を確認してみましょう。
まずは農産物の品目別自給率推移を紹介いたします。
これは重量ベースでの算出です。
主な品目を確認すると、米の自給率は100%近いですが、野菜・果実・小麦・大麦は軒並み減少しています。
重量ベース | 1960 | 1980 | 2000 | 2018 |
米 | 102% | 100% | 97% | 97% |
野菜 | 100% | 97% | 81% | 77% |
果実 | 100% | 81% | 44% | 38% |
小麦 | 39% | 10% | 11% | 12% |
大麦 | 104% | 13% | 7% | 8% |
下記はその他の農産物の自給率もまとめたものです。
米以外にはみかん・きのこ類の自給率が高いです。
りんごの自給率が低いのは意外かもしれません。

下記は折れ線グラフにしたものです。

このグラフはYouTubeで動くグラフとして視聴可です。
冒頭の20秒は飛ばしてOKです。
時間があればこちらも併せてご覧下さい。
次に水産物・畜産物の自給率推移を紹介いたします。
主な品目を確認すると鶏卵の自給率は高いですが、その他は軒並み減少しています。
飼料を含んだ場合、より自給率は低いです。

下記は折れ線グラフにしたものです。

この折れ線グラフも動くグラフで視聴可です。
冒頭の18秒は飛ばしてOKです。
時間があれば併せてご覧下さい。
今回のデータは年数が多いので10年毎に自給率を表で紹介しましたが、詳細を知りたい方は農林水産省で直接データのダウンロードをお願いいたします。
食料自給率の計算方法は総合自給率はカロリーベース、品目別の自給率は重量ベースです。
世界の食料自給率について
下記は世界(G7+豪州・韓国)の総合食料自給率の推移をまとめたものです。
これはカロリーベースの算出です。
韓国は一部データが不明なため空欄としています。
また、海外のデータは2014年以降のものが入手不可のため、2013年までとしています。
ご覧いただくように、日本の総合自給率は国際比較で低いことがわかります。
G7で一番低い自給率です。


この折れ線グラフも動くグラフで視聴可です。
冒頭の18秒は飛ばしてOKです。
時間があれば併せてご覧下さい。
データソース: 農林水産省 食料需給表 平成30年度食料需給表 国際比較 諸外国・地域の食料自給率(カロリーベース)の推移(1961~2017)(試算等)
日本は年度。それ以外は暦年。食料自給率はカロリーベース。ドイツについては、統合前の東西ドイツを合わせた形で遡及しています。
食料自給率が低いことによるリスク
日本と世界の食料自給率を確認して、日本の自給率が低いことがわかりました。
自給率が低いことによるリスクは大きく分けると2つがあります。
- 食料確保の量的リスク(必要なカロリー量を確保できるかという問題)
- 食品安全の質的リスク(残留農薬量や異物混入の問題)
食料確保のリスクは想像に容易いでしょう。
たとえば、輸入が完全に途絶えた場合、下記のような献立になると想定されます。
この画像はNHKのサイトより引用しています。
ご覧頂くように充分な食生活とは言えないでしょう。

次に食品安全面のリスクで言えば、異物混入など健康に害を与えるケースが発生しても、海外へ輸入を頼らざるを得ないことです。
食品安全に関わる過去の問題として、下記のような事例があります。
- 基準値を上回る残留農薬の検出
- カビの発生による保健所の回収
- 食中毒を引き起こす細菌が見つかったことによる自主回収
①中国産の甘酢ラッキョウ製品から基準値を上回る残留農薬が検出された例。
②中国産の落花生にカビ毒があり保健所が回収した例
③アメリカ産の冷凍野菜の一部に食中毒を引き起こす細菌があり自主回収された例
このように健康面へのリスクを考えれば、海外からの輸入に頼ることは安全保障の観点で危険と言えるでしょう。
日本国内の農産物でも同様なケース発生はありますが、国内の自給率がたとえば0%の場合、貿易相手国に食品の安全問題を一任するようなものでしょう。
食料自給率の盲点
下記の動画は河野大臣が食料自給率を政策目標にすることは問題だと主張する内容です。
この動画での河野大臣の主張は下記の通りです。
- 総合自給率はカロリーベースを前提に議論されるが、カロリーベースの計算式に供給熱量を用いるべきでない。
- 総合自給率は輸入が途絶えた場合でも自給率が上昇する仕組みのため、政策目標にふさわしくない。
- 野菜のようなカロリーベースが低いものは、生産額ベースで全体うち23%占めても、カロリーベースで6%と低い数値になりふさわしくない(品目毎にカロリーと生産額ベースで占める割合が違う問題)
総合自給率(カロリーベース)の算出方法について
河野大臣は総合食料自給率は下記の式で成り立っていると説明しています。
1人1日当たり国産供給熱量(941kcal)/1人1日当たり供給熱量(2,436kcal)=約38%
この式では数値を算出するために供給熱量が使用されています。
しかし、この1人1日当たりの供給熱量は2,436kcalですが、実際に摂取している平均熱量は1840kcalだと指摘しています。
供給熱量は流通段階も含めて破棄された食品や食べ残された食品などが含まれます。
つまり、根本的に計算式がおかしい(摂取熱量でみていない)ことを主張しています。
私も調べたところ、厚生労働省の調べから平均摂取熱量は1,840kcalだと確認できました。

実際に摂取熱量で算出した場合、自給率は38%から51%と若干ですが増加します。
1人1日当たり国産供給熱量(941kcal)/1人1日当たり摂取熱量(1,840kcal)=約51%
このように現実と乖離があるとして河野大臣は食料自給率はあてにならないと主張しています。
ちなみに総合自給率は品目別の重量をカロリーに換算した上で、算出されています。
自給率の詳しい算出方法については下記のURLから確認可能です。
輸入が減少した場合でも自給率UPする問題
河野大臣は食料自給率は国内生産÷(国内生産+輸入-輸出)で算出していると主張しています。
下記は品目別の自給率を算出する場合の式です。
品目別自給率=国内生産量/国内消費仕向量
(国内消費仕向量=国内生産量+輸入量-輸出量-在庫の増加量(又は+在庫の減少量))
現在の算出方法では、極端に輸出と輸入をゼロにした場合、自給率が100%になる式になっています。
この計算式の場合、河野大臣はたとえば外国からの輸出・輸入が途絶えてしまった場合、計算式上は自給率は100%になる為、これを政策目標にするのはおかしいと述べています。
たしかにこれはおかしいでしょう。
*画像はイメージです。

品目毎にカロリーと生産額ベースで占める割合が違う問題
先に書いたように、野菜のようなカロリーベースが低いものは、生産額は高くなりますが、カロリーベースの自給率では低いです。
この動画では野菜は生産額ベースで23%、カロリーベースで6%と紹介していますが、たしかにここまでの乖離は問題でしょう。
このようなことから、河野大臣は日本の農薬を語る上では、生産額ベースを基に議論していくべきと主張しています。
まとめ
河野大臣の主張するような問題点を念頭にした上で、食料自給率の問題を正しく理解することが大切だと思います。
しかしながら、食料自給率が全くのデタラメとは言えないでしょう。
総合自給率に関しては摂取カロリーベースで考えた場合でも食料自給率が低いことに変わりはありません。
また、過去に継続的に輸入が途絶えたケースもないため、河野大臣の海外の輸出・輸入が途絶えた場合のケースは極論と思います。
品目別の自給率や総合自給率の推移をみても、多くの品目が過去から現在までゆるやかに減少しています。
河野大臣の主張する戦争状態にも長年なく現状はこの指標で問題ないでしょう。
現在において総合自給率は日本の農業を語る上で充分有用なデータだと考えます。
また、総合自給率はカロリーベースであるため、全体の何%が海外産のものとして体内で消費されたか理解できる指標にもなります。
健康面のリスクを考える場合、生産額ベースよりわかりやすい指標にもなります。
また結論として、河野大臣の主張に対しては、カロリーベースの自給率はデタラメと捉えず、生産額ベースの統計とともに2つの軸で現状を認識すれば良いのではないかと、考えます。
さいごに
この記事に関連する動画へのコメントを紹介して、記事を締めたいと思います。

これは日本のハイテク企業の躍進というか超工業企業の躍進により「安全安心な物作り」が評価されて海外輸出における貿易での対価輸入政策による弊害ですね。減反政策や工場の人員不足により農家の後継者不足が招いたことですよね。企業による農業法人化をもっと進めておけば今の北海道の土地も中共に買い占められることはなかったかと思いますよ。政府の責任です。

農業の個人収入が増えれば打開策もありそうですが、今の収入低下政策下では難しいですね。
技能実習正制度を廃止して、浮いた予算を農業に振れば済む話なんですが…やらんでしょうね。
主だった政治家は利己反日な方々ばかりですもんね。

これはもう日本が飢え死にしても仕方がない段階では❓
とにかくこの自給率の低さ‼️いくら金があっても買えばいいと言うものではない😰もし生産国がノーと言えばおしまいです‼️
また食の安全性から言えば、とてもCK は信用できないし😰

日本は農業、漁業等殆ど全てが機械に頼っているので燃料の石油がないと生産・運搬できません。その意味ではわが国の食料自給率はほぼゼロパーセントということになります。でも、日本は経済規模世界3位の経済大国です。他の国が必要とする工業製品を供給したり、金融などでの収益で得たお金で食料・石油を買えばいいわけで、今までもそのようにしてやってきました。むしろ他の諸外国に比べて余りあるほどの食糧が市場にはあります。ですから食料その物の備蓄も大事ですが時間と共に痛むことを考えると、石油の備蓄や諸外国との友好関係を保つこと自体が食料確保率を高めることになるのではないでしょうか。日本周辺のメタンハイドレートなどのエネルギーの開発は、食料確保率を含め安全保障を高める重要な要因になると思います。

経済観念で行くと、単純に自衛隊ほど金がかかって生産性もなく経済的に必要ないものもない
農業も同じく他国から買った方が安いからと補助金無駄で減らしてきたけど、国防は大事だと思うなら、食料確保出来てないと、防衛できないぞぃ
受給してる国とは当然出来ないし、そこを押えられたら終わるんよ
すごい歪なバランスな国になってるのよね
今回の記事は以上です。
最後までお読みいただきありがとうございました。
※もし良ければYouTubeのチャンネル登録よろしくお願いいたします。
http://www.youtube.com/channel/UCTMxyMpioyIFSts38_eqKhA?sub_confirmation=1
【日本の食料自給率推移(耕種編) 1960~2018】
グラフ兄さん
【日本の食料自給率推移(畜産編) 1960~2018】
【世界の食料自給率推移(G7+韓国・豪州) 1961~2013】
食糧自給率はアップすべき。廃棄野菜等上手く活用したら良い。形悪くても私は買います。飲食業は手間で使用出来ないが。魚でも市場に出しても売れないとかいう。何か良い方法を考える必要あり。
日本は農薬使い過ぎらしい。これも問題。前に農家の人、肥料や農薬買わないと農協が取引してくれないとかいう話しあった。農協は利益優先的にならない事。農機等もレンタルとかいう方法考えたら?