有利子奨学生の増加と私大補助金の問題点

有利子奨学生の増加と私大補助金の問題点

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この記事で理解できること

今回の記事では下記トピックから日本の教育問題について考えていきたいと思います。

  1. 大学生の奨学金受給率
  2. 奨学金を受給した学生数の推移
  3. 私大補助金予算額の推移
  4. 大学数の推移
  5. 関連するニュースの紹介

それでは早速ですが本題に入りたいと思います。

大学生の奨学金受給率について

下記の円グラフは平成30年度(2018)における大学生の奨学金受給率を表したものです。ヒアリング対象は大学昼間部の学生に限定したデータになります。

このグラフからわかるように、近年において、約半数の学生が何かしらの奨学金を受給していることがわかります。

有利子奨学生の増加と私大補助金の問題点
奨学金受給率国立公立私立
受給者43.1%53.3%48%
必要ない者51%42%46.2%
その他5.9%4.7%5.8%

具体的な数字を確認したい方は下記表をご覧下さい。

データソース:独立行政法人 日本学生支援機構 平成30年度学生生活調査

ちなみに奨学金の借入金額の平均は約324.3万円と言われます(調査期間:2018年8月下旬~11月末)。

奨学金を借りるのは任意ですが、ここでは多くの学生がこのように借金を背負って大学に進学しているということを頭に入れておきましょう。

有利子奨学生の増加と私大補助金の問題点

この借入金額に関する調査対象の最終学歴は中学卒0.5% 高校卒:26.2% 専門学校・高専・短大卒15.8% 大卒以上57.2%(大学卒49.6%、大学院卒7.6%)です。

出典:労働者福祉中央協議会 「奨学金や教育費負担に関するアンケート調査」調査結果の要約

奨学金を受給した学生数の推移について

下記の積み上げ面グラフは平成10年度(1998)から平成29年度(2017)において、奨学金を受給した学生の推移です。単位は万人です。

このデータは学生という括りで集計されています。

有利子奨学金を受給した人数1998年:約11万人2008年:約75万人2017年:約82万人です。

無利子奨学金を受給した人数1998年:約39万人2008年:約34万人2017年:約52万人です。

平成17年度(2005)入学者から、都道府県に移管している高等学校等奨学金事業交付金分は含まれせん。わかりやすく言うと、高校生の奨学生は一部除外した数値になります。

有利子奨学生の増加と私大補助金の問題点

下記のグラフは同じ統計を別の形で表したものです。

平成15年度(2003)の時点で有利子奨学金を受給した人数が、無利子奨学金を受給した人数を逆転しています。

有利子奨学生の増加と私大補助金の問題点

下記2つのグラフは文部科学省のサイトに掲載されているグラフです。

1つ目が奨学金を受給した人数のグラフ(前述のグラフと同内容)、2つ目が奨学金の受給金額のグラフです。

データソース:文部科学省 奨学金事業の充実 (1)事業規模・貸与人員

このようにプラスに捉えれば、奨学金の活用により、大学教育を享受できる学生数が増加したと捉えられます。

しかし、一方で大学など卒業と同時に実質的な借金を背負う人たちが増加したとも言えます。

私大補助金予算額の推移について

下記のグラフは私大補助金の予算額推移を表したものです。

ご覧の通り、私大補助金は少子化にも関わらず、現状を維持した数値を保っています。

有利子奨学生の増加と私大補助金の問題点

下記は前述の積み上げ面グラフを作成するために使用したデータです。前述の積み上げ面グラフと縦棒グラフの基データは同じです。

ちなみにこの補助金は一般補助と特別補助の2種類から構成されます。

一般補助

一般補助の配分に当たっては,①学生定員の管理状況,②専任教員一人当たりの学生数,③学生納付金の教育研究経費への還元状況,④教育情報,財務情報の公表の状況など,教育条件や財政などの客観的な指標に基づき補助金額を増減し,効果的・効率的な配分を行っています。

特別補助

特別補助は,自らの特色を活かして改革に取り組む大学等を重点的に支援することとし(中略)「私立大学等改革総合支援事業」や,経済的に修学困難な学生を対象とした授業料減免等を行う大学等への支援などを行っています。

データソース:文部科学省 令和元年度 文部科学白書 第2部 文教・科学技術施策の動向と展開 第6章 私立学校の振興

この私大補助金は学生の定員数などの管理状況をみて、配分が決まります。

この基準により日本人の学生が確保できない大学は、外国人留学生を確保する動きがあります。

少子化にも関わらず、私大補助金目当て(一種のビジネス)のために、本来であれば金銭的補助を享受できるべき学生への支援がないがしろにされています。

またその副産物として、受け入れ態勢が充分でないために失踪する外国人留学生も多数発生しています。

例えば、東北福祉大学(偏差値37.5~52.5*大学受験パスナビより引用)では2016~18年度に約1万2千人の留学生を受け入れたが、うち1610人が所在不明、700人が退学、178人が除籍という問題を起こしています。留学生のうち約13%が失踪という事態を招きました。

参考:日本経済新聞 留学生1600人不明 東京福祉大に受け入れ停止指導(2019年6月11日 10:48)

このように、大学教育を真剣に考えるのであれば、補助金支給の基準も学生数の定員などに加えて、大学の講義・学生の質の判断も加えるべきでしょう。

私大補助金を減らし、その金額を少しでも給付型の奨学金等に充てるなり、大学等の授業料削減へ働くようにすべきです。

下記は私大補助金が支給されている大学の一部です。

それぞれの大学で志のある若者が勉学に励んでいるとは思いますが、ある程度、子供の人口減少に合わせた大学数のコントロールが必要だと思います。

下記のリンクより私大補助金が交付されている大学、および交付される金額が確認可能ですので、興味ある方はご覧ください。

出典:日本私立学校振興・共済事業団 私立大学等経常費補助金 令和2年度補助金の交付状況

ここまでグラフをまとめましたが、少子化にも関わらず奨学金を受給した人数は増加しており、一方で私大補助金は維持される現状に疑問を感じます。

偏差値を問わず大学として相応しい研究・講義をしているか疑問とされる大学は多数あると思います。これら大学にメスが入れられるべきと考えます。

大学数の推移について

下記の動画は大学数の推移を表したものです。私大は減少どころか増加してきました。

短大・専門学校の需要が減少して短大数が減少したことなど増加の要因でありますが、いずれにせよ少子化高齢化で子供の人口が減少しているいま、文科省を筆頭に教育関係者はこの異常な状況を是正するべきだと主張します。

データソース:文部科学省 学校基本調査 大学の学校数、在籍者数、教職員数(昭和23年~)

関連するニュースの紹介

これは西村博之さんが共産党の志位和夫議員が取り上げた『前文部科学副大臣(亀岡氏)、文科事務次官(藤原氏)と学校法人「豊栄学園」の接待問題』を引用ツイートしたものです。

この記事で亀岡氏は接待との認識は受けていないと回答していますが、藤原氏は同席して金銭の支払いをしていないことを認めています。

内閣官房の大臣規範では下記の定めがあります。

この規範にあるように、文部科学省にはこのように疑念を抱かれるような行為は避けていただき、日本の教育、こどもの未来のために、少しでも現状を改善くださるよう動いていただきたい想いです。

6)関係業者との接触等倫理の保持に万全を期するため、① 関係業者との接触に当たっては、供応接待を受けること、職務に関連して贈物や便宜供与を受けること等であって国民の疑惑を招くような行為をしてはならない。

引用:内閣官房 国務大臣、副大臣及び大臣政務官規範

最後に

最後に、先ほどの私への動画のコメントを紹介して、この記事を締めたいと思います。

大学経営が教育理念より、収益理念になっている。教育者理念良識の廃退?

日本の国益になるような研究している日本人や機関(大学、研究所など)にもっと費用をさくべきだね。

日本人は半分が奨学金という名の、40歳以上まで支払いが続くローンを抱えないと大学に通えません。当然、結婚。子供を産むこと。住む家の制約を受けることになります。これが日本の少子化傾向の、根本原因です。

文科省利権が福田康夫の時に出来た。 私立大学はその温床、外国人は日本国から補助金が出る。 大学と言う、外国人出稼ぎ労働者受け入れ機関になっている。 鼻っから正式資格も無く、逃げる奴多数。 こんな大学に日本人の税金が投入されている。

学費かかるからって子供の人数考えました。自助努力なんです。学費。学びたい人はきちんと学べる国になってほしいです。もちろん国民を一番に考えていかなければ日本の未来に希望持てない。

国公立大学の枠が小さ過ぎるのが問題かと。 質の悪い私立大学の淘汰を促すにも国公立大学の学生数増加は、質の良い奨学金制度拡充に繋げられます。 英米の大学進学率65%前後は、一度社会に出た人が、企業や地域、業界などの要請推薦選抜で入試を経て進学するようです。 高校から周りに流されて気楽に学生生活を楽しむ中に、社会の厳しさを知り、報告を求められる学生の存在は、学生に適度の緊張感を与える事が期待される?

少子化なのに、おかしいよね… アメリカの大学に行けなかった中共やK国の人が、簡単に入れる日本の大学に入学するという話を聞いた事がある… 外国人留学生は授業料無償(国費留学生制度)で、日本の大学生は、奨学金という借金を課す… この国はおかしいよ… いったい、どこの国の政策なのか…

今回の記事は以上になります。

最後までお読みいただきありがとうございました。

※もし良ければYouTubeのチャンネル登録よろしくお願いいたします。

https://www.youtube.com/channel/UCTMxyMpioyIFSts38_eqKhA

グラフ兄さん

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2件のコメント

中国 韓国等 外国人留学生に返済不要の奨学金潤沢に使って  日本の学生には借金漬 呆れてしまう。   日本人に冷たい日本国政府 外務省 文科省 公明党

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大学無償化も始まりましたが、住民税非課税世帯などに手厚くされる制度がどんどん整備され、一生懸命働きたくさん納税している世帯は相変わらず奨学金を借りて進学するといった逆転現象に複雑な気持ちでいる国民は多いと思う。少数の弱者にばかり手厚いのが民主主義なのか?と昨今疑問に思う事も多いです。私大の数もだし、補助金もだし、中国からの留学生に異常に手厚い制度もだし、訳分からんすぎて腹たちます。

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